LAN配線工事って資格が必要なの?自分でDIYする際の注意点
LAN工事は、資格を有していなくても行うことができるよ。
だけど、オフィスでのLAN工事は、業者に依頼する方が良いんだ。
LAN工事にはどんな手順が必要になるのか、業者に依頼した方が良い理由についても詳しく説明するね。
仕事をしていく上でパソコンは必須のものとなっています。
そんなパソコンを効率よく活用するには、さまざまな回線や機器と接続する必要があります。
そこで重要になってくるのが『LAN配線』です。
このLAN配線は上手くいかないと、すべての事業に影響が出てくる可能性があります。
そこで今回は、LAN配線を個人で行うことはできるのか、専門家に依頼した方が良いのか、などを解説していきます。
LAN配線工事に資格は必要ない
LAN配線の工事というのは、素人から見ると非常に複雑ですし多くの配線が行き交うこともありますので、『特別な資格がないと行ってはいけないもの』だと感じられる方がいます。
コンセント周りで作業していることが多いのも、そう感じる原因の一つです。
しかし、結論から言ってしまうとLAN配線工事自体に資格は必要ありません。
プロなのに資格が必要ないと聞くと不安になってしまうかもしれませんが、それはLAN配線やネットワーク機器の『設置』に限定されたものです。
簡単に言ってしまえば、ケーブルを繋げる、ネットワーク機器を置く、といった行為に資格はいらないということになります。
そのため、設置に限っては素人が行っても問題はありません。
LAN配線というのは、デバイス(PCやスマホ、テレビなど)とインターネットを繋ぐもので、特別な電気工事を行うものではないからです。
ただし、LAN配線ではなく100V・200Vのような電気の線を用いた作業になると『電気工事士』という資格が必須になります。
これは『電気工事法』の第三条の2にも記されており、破ると厳罰の対象となります。
そのため、資格を持っていない素人が一般家庭でのコンセント増設や配線行為はできません。
ちなみに、電話線に対する工事も『電気通信工事担当者』という資格が必要になってきます。
こちらはLANケーブルと同じように『繋ぐ』という行為であれば素人でも問題ありませんが、増設や配線工事になると資格が必要になるんです。
『じゃあLAN配線だけなら大丈夫なんだ』と感じるかもしれませんが、個人でやるのは少し技術が必要になります。
LAN配線する場所にも左右され、個人の家庭とオフィスではLAN配線の手順も規模も違ってくるのです。
特に問題になってくるのが、オフィスでLAN配線する場合です。
LAN配線してしまうと、すべてのデバイスが繋がっている状態になります。
デバイスが正常に動作していたとしても、ケーブル一本接続が違っていれば、オフィス内すべてのデバイスで誤作動が起こってしまうこともあるんです。
そのような配線完了後に起こったトラブルに対応できる社員がいれば問題ありませんが、やはり最初から専門家に依頼してアフターケアも万全にしていた方が良いでしょう。
何故LAN配線業者に依頼をするのか
LAN工事を専門業者に依頼すれば、LANの基本構築からネットワーク構築、セキュリティまでを依頼することが可能だよ。
『個人でLAN配線できるのであれば、お金をかけてまで専門家に依頼したくない!』と感じる人もいます。
しかし、総合的に見ても専門家に依頼した方がメリットが多いのです。
ここからは、何故個人でLAN配線をするよりも専門家に依頼した方が良いのかを解説します。
専門知識がある
専門知識がある、やはりこれが最も大きなメリットと言っても良いでしょう。
確実にLAN配線を行いたいのであれば、専門知識の豊富なプロに任せましょう。
『LAN配線って、繋げるだけで終わるから素人がやっても変わらないのでは?』と思うかもしれませんが、実際は以下のようなことをしなくてはいけません。
今回は、分かりやすいように法人でのLAN配線工事について記載します。
①LANの基本構築
LANの基本構築とは、すべての接続機器を1つのネットワークとして構成するLAN工事のことを指します。
たとえば、パソコンAからでもパソコンBのデータを閲覧できたり、それを印刷することもできるのです。
オフィス内でパソコンを利用するのであれば非常に便利ですよね。
②WAN-LAN間のネットワーク構築
WANとは余り聞き慣れないかもしれませんが、LANよりも広い範囲でのネットワークのことを指しているイメージです。
WAN-LAN間のネットワーク構築とは、WANとLANを組み合わせることで離れた拠点間を1つに繋げるLAN工事のことです。
③基幹システムネットワーク構築
基幹システムとは、企業における管理システムの基盤のことです。
オフィス内の業務システムに対してネットワークを構成するためのLAN工事を行います。
④ネットワークセキュリティの充実
ネットワークセキュリティとは、LANやWANなどのネットワークに対してのセキュリティのことです。
情報社会である現代において、情報漏洩は絶対に起こしてはいけないものとなっています。
ウイルス対策、データの暗号化、パスワード管理、バックアップなどをしっかりとやっておく必要があるのです。
⑤LANケーブルの配線整理
オフィス内でLANケーブルを使うとなると、非常に多くのケーブルが必要になります。
そのまま放置しておくと見た目が悪いだけでなく、引っかかってこけてしまったり、LANケーブルが抜けて不具合が起こることもあります。
そのようなことにならないように、LANケーブルを最適な状態に配線しなおす工事を行うのです。
依頼の内容や会社に規模によって内容は変わってきますが、基本的には上記のようなことを行います。
これを個人でやるのは非常に大変ですよね。
最悪の場合、専門家に依頼するよりもコストがかかってしまうこともあります。
アフターケアがある
例え工事後に不具合が生じてしまった場合でも、業者であれば、アフターサポートを利用して、即座に解決してもらう事が可能だよ。
LAN配線工事というのは、ネット回線に接続して完了するものではありません。
前述した通り、オフィス内にある接続機器を1つのネットワークとして構成する工事のことです。
そのため、1つの不具合が全体に大きな影響を及ぼすこともあります。
そこで問題になってくるのが、『その不具合に対処することができるのか』という部分です。
仮に、自分たちだけで作業した場合、トラブル処理も自分たちで行わなければいけません。
しかし、専門家に依頼しておけば適切な『アフタフォロー』を受けられます。
工事した当時のことも分かっていますので問題なく解決してくれるでしょう。
自分の業務に集中できる
自分たちでLAN配線をする場合、どうしても本業の方を疎かにしてしまいます。
他の人の負担も増えてしまいますし、工事が終わるまで何もできないなんてこともあるくらいです。
専門家に依頼しておけば、作業も短期間で終わりますし、その間は自分の業務を全うすることができます。
自分でLAN配線(DIY)をするときの注意点
どうしても自分でLAN配線をしたい場合には、必要な工具や機材をそろえる事、専門的な知識を頭に入れておく事が大切になるよ。
では、仮に自分でLAN配線をすると決めた場合、どのようなことに注意しながら始めていくのかを解説していきます。
必要な知識を身につける
自分でLAN配線をするのであれば、必ず知識を付けてから行うようにしてください。
何も調べないままネットなどの情報を頼りに始める人もいますが、すべて正しい情報という訳ではありません。
そのため、『どの情報が正しいのか事前に調べておくこと』が大事になります。
調べた上で、その情報を確認しながら作業していきましょう。
調べ終わった後に練習するのもおすすめです。
どの程度の力を入れればLANケーブルは切れるのか、どの角度から切ればケーブルの皮が剥きやすいか、自分の使っているカッターの切れ味は大丈夫なのか、などを本番前に知っているのと知らないのでは作業効率が変わってくるからです。
専門の工具を揃える
自身でLAN配線をする際には、それに適した道具・工具をあらかじめ準備しておく必要があります。
必須のものもありますが、自分が使いやすいものを使うのも大事なことです。
最初は分からないかもしれませんが、やっていく内に手に馴染むものが見つかると思います。
必需品
・LANコネクタ(RJ-45)
LANコネクタ(RJ-45)は各メーカから発売されているので、自分の好きなメーカーを選ぶのが良いでしょう。
よく分からない場合は、LANケーブルに合ったものを選択していれば問題ありません。
カテゴリ→『CAT5E』『CAT6』『CAT6E』など
芯線→『単線用』『より線用』『どちらにも対応』
シールド→『STP(シールドあり)』『UTP(シールドなし)』
上記の部分に関しては、LANケーブルに合ったものを選びましょう。
ロードバー→『あり』『なし(通常)』
ツメ折れ→『あり』『なし』
この2つに関しては、どちらも『あり』を選ぶのをおすすめします。
ツメ折れの方は、後述する『モジュラカバー』で対応することも可能です。
・LANケーブル
LANケーブルは用途によって長さが違いますが、できるだけ長いものを用意しましょう。
家庭用であれば30mほどが好ましいです。
・LANケーブルテスター
作成したLANケーブルの断線確認に必要となってきます。
テスターにも種類がありますが、おすすめは『セパレータタイプ』です。
セパレータタイプであれば、離れた場所からでもLANケーブルの結線(断線)を確認することができます。
機能面を重視したいのであれば、断線確認以外にも結線確認などができるテスターもありますよ。
断線確認:線が繋がっているのか
結線確認:正しい配線が行われているのか
テスターを使用する際には、必ず手順ごとにテストを行うこと、正確な作業を行うことを心がけなければいけません。
少しのズレでも、すべての数値が狂ってしまうことも少なくないのです。
まずは、確認作業の手順をしっかりと守ることを考えると良いでしょう。
・短いLANケーブル
LANやコンセントの動作確認に使用します。
そのため、できれば2本用意すること、信頼性の高いものを選ぶことを推奨します。
短いケーブルはパッチケーブルと呼ばれることもあります。
・かしめ工具
両端コネクタ(RJ45)を締め付けるために使用します。
LAN配線において、これが無ければ始まりません。
ただし、製品によって締め付ける力に違いがあります。
締め付けすぎると壊れる可能性もあるので、極端に安価なかしめ工具には注意してください。
かしめ工具の中には、皮むき機能も付いているものもあります。
・皮むき工具
LANケーブルの結線作成時などに、周りの皮を剥く必要があります。
その際に便利なのが皮むき工具です。
ハサミやカッターなどでも代用は可能ですが、芯線をできるだけできるだけ傷付けず、時間短縮も可能な専用の皮むき器の方が安全になっています。
・プラスドライバー
力を入れ過ぎるとネジの頭が変形してしまう可能性があるので、自分の手にフィットして適度の力で回しやすいものを選ぶと良いでしょう。
・カッターナイフ
LAN配線において『切る』という行動は少なくありません。
細かい作業も必要なため、ハサミよりもカッターが好ましいです。
できれば、大きいカッターと小さく細いカッターの2種類用意しておきましょう。
あれば便利なもの
・モジュラカバー
ツメ折れ対応なしのコネクタを使用する場合などはカバーを付けた方が安全に作業することができます。
LANの脱落や不正取り外しの防止にも繋がるのでおすすめです。
『先付け』と『後付け』がありますが、後付けは外れやすいため先付けの方が良いでしょう。
・スパイク
LANケーブルの芯線を上手にバラすのに便利です。
まとめ
オフィスのLAN工事は手間がかかるという事が良く分かったね。
自分で行う配線は、見栄えが悪かったり、トラブルが発生してしまうリスクがあるから、オフィスのLAN配線は、専門業者に依頼するのがお勧めだよ。
LAN配線に特別な資格はいりませんし、道具さえ揃えば個人でやることも可能です。
しかし、確実にLAN配線を行いたいのであれば『専門家に任せる』という選択肢も頭に入れておくと良いでしょう。