会計処理上LAN工事は固定資産になる?勘定科目は?償却年数は何年?減価償却資産となる理由

LAN工事において、技術的なことや手配の手続き関連には詳しいけど、お金の処理についてはあまり自信がない…という方もいるのではないでしょうか。
オフィスのLAN工事をしたものの、そこでかかる費用はどのように計上すればいいのか、自信を持って答えられますか?

今回は、LAN工事に関するお金の扱いについて解説します。
固定資産なのか?経費処理はどうするのか?など、毎回調べるのは大変ですよね。

本記事をお読みいただければ、LAN工事のお金に関するルールや、工事の内容に合わせてどのように処理すればいいかが分かると思います。
ぜひご一読いただき、LAN工事についてお金の面もマスターしましょう!

 

まずはLAN工事にまつわる減価償却と耐用年数について考える

まずはLAN工事に関連してよく耳にする「減価償却」「耐用年数」についての情報を整理します。
お金関連が苦手な方は、ついついこれらの言葉に拒絶反応が出てしまい、あまり考えずに言われたままに処理してしまいがち。

実はそれほど難しくないものですので、きちんと理解してしまえば苦しむこともなくなりますよ!
順に解説していきますので、ぜひついてきてくださいね。

 

減価償却と耐用年数との関係は?

LAN工事を含め、工事や設備導入などで高額の費用がかかった場合、それらは一括経費として計上せず、「固定資産」として管理し、数年に分けて経費処理するというルールがあります。
この「数年に分けて経費処理すること=減価償却」です。

大型の設備など、買って1年で使い終えてしまうようなことはほとんどなく、数年間に渡って使い続けるのが一般的ですよね。

それなのに設備を買った年に購入金額を全額経費として計上してしまうと、その年だけ経費が多くなって利益が下がり、それ以外の年は経費がかかっていない(しかし設備は使用している)ため見た目の利益が上がる、といったことになってしまいます。
これでは会社の経営状況を適切に判断することができなくなってしまいますよね。

そのため、設備の使用年数に合わせて年ごとに分けて経費計上できるようになっているのです。(うまく活用することで節税効果もあります。)

ちょっと難しい話になってしまいましたが、
減価償却:高額費用を使用年数に分けて年ごとに計上する仕組み
耐用年数:上記の「使用年数」をあらかじめ定めたもの
と理解してもらえればOKです。

なお耐用年数は、法人税法に基づき資産の種類ごとに定められています。
パソコンなら何年、ネットワーク機器なら何年、プリンターやコピー機は何年、といった具合です。
資産の種類で決まりますので、高性能パソコンだから耐用年数が長いなどといったことはありませんし、メーカーの違いによって耐用年数が異なるということもありません。

 

耐用年数は中古の機材にも適用される?

なお上記の耐用年数は、新品を購入した場合に適用される年数です。
しかし実際の工事のシーンでは、使用する機材が必ずしも新品のものとは限らず、必要に応じてまだ使える中古品を使用することもありますよね。

中古の機材を使用する場合は、法定耐用年数をそのまま当てはめるのではなく、下記の計算式によって適用する耐用年数を算出します。
中古品の耐用年数=(法定耐用年数-経過期間)+(経過期間×20%)

例:新品時の耐用年数10年のものを、2年落ちで使用する場合
(10-2)+(2×20%)=8.4年
となり、耐用年数は8年となります(年以下は切り捨てされます)

その他算出にあたってはいくつかのルールや制約がありますが、中古の機材であっても耐用年数は適用されるという点は覚えておきましょう。

 

減価償却の対象は10万円以上が目安!

なお、減価償却をするならば、費用が10万円以上かかるものを目安にすることをおすすめします。

法律上は、10万円未満のものも固定資産登録し減価償却することもできますが、費用が少額ですとそれほど経営数字に大きく影響を及ぼさず、数年に分けて処理する必要が少ないからです。
固定資産の管理手続きの手間ばかりがかかって、メリットはあまり無いという状態になってしまいます。

10万円未満のものは、長期間使用する場合であっても消耗品費として一括計上できますので、管理上はそのほうが楽です。
金額を見ながらうまく使い分けることをおすすめします。

 

減価償却の方法っていくつかあるの?よく耳にする定額法と定率法の違い

減価償却で計上できる経費を「償却費」と呼びます。
この償却費の金額ですが、導入価格と耐用年数が決まれば一律に決まるというものではありません。
いくつかの計算式を選択して算出して良いことになっています。

定額法、定率法という言葉を耳にしたことがある方もいるかも知れませんが、その2つが減価償却方法の代表格です。
これらの違いを解説しますね。

 

定額法とは?

定額法はシンプルな計算方法で、価格を耐用年数で割って1年分の償却費を算出する方法です。
例えばLAN工事価格が100万円で、耐用年数が10年の場合、1年あたりの償却費は下記のように算出されます。
価格(未償却残高)100万円÷耐用年数10年=償却費10万円
とてもわかりやすい計算方法ですね。

経費は常に一定額で計上したいという場合には、この定額法がおすすめです。

 

定率法とは?

定率法は、定額法と比べると少し複雑です。
耐用年数ごとに定められた「償却率」を、資産の未償却残高にかけることで償却費を算出します。

例えば耐用年数が10年の場合、償却率は0.200と決まっています。

1年ごとの償却費は、下記のようになります。
1年目は、価格(未償却残高)100万円×償却率0.200=償却費20万円(2年目の未償却残高80万円)
2年目は、未償却残高80万円×償却率0.200=償却費16万円(3年目の未償却残高64万円)
3年目は、未償却残高64万円×償却率0.200=償却費12.8万円(4年目の未償却残高51.2万円)
なお未償却残高が既定の額を下回ると、改定償却率が適用され以降の毎年の償却額が定額となります

最初の年は償却費を高く計上し、年が経つにつれて下げていきたいという場合は、この方法がおすすめです。

定額法と定率法、それぞれの償却費を比較すると下記のようになります。
(LAN工事価格が100万円で、耐用年数が10年の場合)

年数 償却費
定額法 定率法
1年目

100,000

200,000

2年目

100,000

160,000

3年目

100,000

128,000

4年目

100,000

102,400

5年目

100,000

81,920

6年目

100,000

65,536

7年目

100,000

65,536

8年目

100,000

65,536

9年目

100,000

65,536

10年目

100,000

65,536

合計

1,000,000

1,000,000

当然ですが、どちらの方法を採用した場合でも、10年経過した際の償却費の合計は同額になります。

 

その他の方法

LAN工事の減価償却の方法としてよく使用されるのは上記の2つですが、減価償却にはほかにもいくつかの方法があります。
「級数法」「償却基金法」「生産高比例法」などです。

ただしこれらは実務で使用されることはほぼないと思いますので、内容まで理解しておく必要はないでしょう。
解説も割愛しますね。

 

LAN工事における耐用年数とは?

上記の説明で、「LAN工事の耐用年数10年の場合」といった記述をしましたが、LAN工事の耐用年数は一律で10年と決まっているわけではありません。
導入機器の種類により、耐用年数が細かく分けられているのです。

ネットワーク機器とLANケーブルとでは、それぞれ耐用年数が異なります。

実際、複雑な電気信号を処理する機器に比べ、信号を伝送するだけのケーブルのほうが故障しにくく長持ちするのは事実です。
実態に合わせた耐用年数設定ではありますが、1つのLAN工事としてセットで導入した場合、購入品目ごとに耐用年数が異なるのは管理の視点では手間かもしれませんね。

それでは品目ごとの耐用年数を見ていきましょう。

 

ネットワーク機器の耐用年数

ネットワーク機器の耐用年数は10年です。
ルータやHUB、無線LANの親機などが該当します。

ネットワークの分野は技術開発も盛んで、例えば通信速度一つとっても、この30年くらいの期間で10Mbps→100Mbps→1Gbps→10Gbpsと高速化されてきました。
また関連して各種の拡張機能やセキュリティ機能などが次々に製品に搭載されています。
したがって、ネットワーク機器は頻繁に新製品が発売されているというのが実態です。

また先述のとおりネットワーク機器は故障も多いものですので、故障したら交換対応を行うというのは、LAN運用のシーンではよくあるのではないでしょうか。

そのため、「1度買ったネットワーク機器を、耐用年数である10年間使い続ける」というケースは、実際は少ないかもしれませんね。

5年~6年くらいで買い替えたり、各機器を一括刷新したりするのが実情でしょう。

 

LANケーブル、光ファイバーケーブルなど配線に関する耐用年数

ケーブルの耐用年数は2種類あります。
一般的に「LANケーブル」と呼ばれる、パソコンとHUB間の接続で使用されるケーブル(ツイストペアケーブル)は18年、基幹ネットワーク機器間の高速通信用に使用されることがある「光ケーブル」は10年となっています。

実際のLAN工事のシーンでは、ツイストペアケーブルと光ケーブルを組み合わせて工事することもよくありますので、同じ「配線工事」なのに耐用年数的には区分が異なるというのは、ちょっと煩わしいですね。

また技術的な視点では、LANケーブルは状態が良い環境で使用した場合は20年~30年は持つとも言われています。

場合によっては、耐用年数を過ぎても十分使えるというものもあるかもしれませんね。

 

レンタルサーバーなどのクラウドサービスには耐用年数がある?減価償却の対象となる?

技術の進化により、最近はサーバを自前で持たず、業者からレンタルするケースが増えています。
しかも物理的なサーバ機をレンタルするのではなく、インターネット上の仮想サーバを借りるクラウドサービスがもよく使われるようになってきています。
本記事をお読みの方でも、実際にクラウドのレンタルサーバを利用している人もいるかも知れませんね。

こういったレンタルサーバについては、耐用年数や減価償却といった考え方はありません。
耐用年数も減価償却も、固定資産に付随する考え方ですが、レンタル品は自社所有物ではないので、そもそも固定資産して扱えないのです。
そういう意味では、クラウドのレンタルサーバを使用する場合であっても、物理的にサーバ機をレンタルする場合であっても考え方は同じで、いずれも固定資産にはなりません。

短期間しか使用しないのであれば、管理の手間も考えるとレンタルのほうがお得なケースは多いと思います。

 

まとめ

LAN工事と意外に関連の深い固定資産について解説しました。

品目の違いにより耐用年数が異なるなど、お金の面では取り扱いの難しいLAN工事。
あまり聞き慣れない言葉や堅苦しいルールなどに戸惑った方もいるかも知れませんね。

会社においては、LAN工事担当者と会計担当者が別々の人というケースもよくあります。
そんなときにLAN工事担当者がお金のことをまったくわかっていないと、経理担当者と会話がまったく通じず、お互い苦労してしまうものです。

技術的な話に加えてお金の話も理解していれば、より広い業務をサポートできるようになるでしょう。
ぜひお金周りの知識も身につけ、より活躍できるネットワーク担当者になってくださいね。