LANケーブルのCat6とかCat7とかって何?LAN工事に必要な最低限の規格とは?

LANケーブルの種類や規格は実に多くのバリエーションが世の中に出回っています。

その場所や状況による選択が必要となるわけですが、一般的な利用者や、LAN配線業者、システムエンジニアでも「そこに何を配線するか」という判断は十人十色です。

しかしその十人十色の選択は概ね似通った部分があり、その傾向と基本的な考え方から、しぜんと選択肢がみつかることでしょう。

本記事では、LANケーブルにおける規格と適材適所について解説いたします。

 

LANケーブルの規格って何?

LANケーブルの規格は、一般的には「Cat5e」だとか「Cat6A」だとか言われますが、CATはCategory(区分、種類)という意味であり、5→6→7という順に、より新しいリビジョンへと更新されています。

eはenhanced(促進する、強化する)、AはAugmented(増強された)という意味を持ちます。

LANケーブルは、リビジョンやe/Aなどの識別子の呼称により、厳密に規格が定められています。

 

LANケーブルの規格の種類

世の中では一般的にCat5eが主流となっていますが、それに追従する更新規格であるCat6、それをメーカーが強化したCat6e、TIAによって制定された流れの中でANSIによって承認されたCat6A、更にその規格の更新規格であるCat7が登場しています。

Cat5e→Cat6→Cat6e→Cat6A→Cat7という順に伝送速度や利用帯域が拡大しており、それらの規格の中から適したLANケーブルを選んで行く形となります。

 

実際にCat5eとCat7ではどのくらいの差があるの?

Cat5eの規格では、伝送速度は1Gbps、帯域は100MHzが保証され、ケーブルの形状は通常使用のUTPのみに限られます。

しかし価格面においては300m巻で15,000円からと、コストパフォーマンスについてはかなり優れた一面を持ちます。

Cat7の規格では、伝送速度は10Gbps、帯域は1000MHzが保証され、Cat5eの約10倍のパフォーマンスを持ちます。

ケーブル形状はSTPという、銅線へアルミを巻きつけるような内装を持ち、対ノイズ性能に優れています。

価格面では20m巻で15,000円程であり、Cat5eの約15倍という高額な設定となっています。

また、忘れてはいけないのはコネクタの形状です。Cat7は伝送速度に優れているという一面を持ちながら、Cat5eで使用されるRJ-45コネクタではその高パフォーマンスを維持できず、GG45というコネクタが使用されます。

GG45コネクタはRJ-45に対しても下位互換性を持っていますが、スイッチやサーバによっては形状が合わず、結線出来ないということもあります。

 

Cat7の特徴

前述のように、Cat7の規格では、伝送速度は10Gbps、帯域は1000MHzが保証されます。

ノイズ干渉にかなり気を使う設計が施されており、被覆シールドは2重に展開され、8本の銅線の各色ペアには、ノイズ干渉を防ぐ目的でアルミ線を巻きつけ、十字スペーサを設けるという徹底ぶりが垣間見えています。

加工も光ケーブルと同様にLAN工事業者でないと難しく、Cat7ケーブルの用途はサーバ機器やネットワーク機器間などのハイエンドな通信を要する場所のみに限定されます。

 

Cat7を使用する際に注意する3つのこと

Cat7ケーブルを使用する上で、気をつけなければならない点は以下のとおりです。

 

①Cat7ケーブルの用途を勘違いしないこと

前述のとおり、Cat7ケーブルが要件として出てくる状況は、サーバルームにおけるサーバ機器の通信や、ネットワーク機器間の通信に限定されます。

Cat7の使用するGG45コネクタは、ふつうのクライアントPCなどでは結線できないものも多く、末端のPCやプリンタに使用するべきではありません。

 

②ハイパフォーマンスだが、ハイコストでもある

LAN工事にコストパフォーマンスを求めるのであれば、普通用途にCat5eを、局所用途にCat7をと、使い分ける必要があります。

Cat5eの15倍ものコストがかかるケーブルを全方位的に配線すると、コストオーバーどころか、過剰すぎるパフォーマンスに、クライアントPCやネットワーク機器などが「ついていけない事態」になります。

それは単に「クライアントPCやネットワーク機器がボトルネックになる」と言うだけの話ですが、勿体無いにも程があります。

 

③STPケーブルは堅く、取り回しに難がある

Cat6の一部やCat7ケーブルが誇るSTPケーブルは、対ノイズ性能に優れてはいるものの、堅くて取り回しづらく、加工もしづらいです。

ケーブルをコンパクトに束ねることはそうそうできることではありません。

 

ネットワーク機器がCat7に対応をしているか

Cat7に対応している現行のネットワーク機器は、その種類が限られています。

近年のネットワーク機器は「10GBASE-Tへ対応するインタフェース」と「SFPモジュールを介して、光ケーブルを使用するインタフェース」とに分かれますが、近年で最も顕著に使用されているネットワーク機器は、後者のほうが圧倒的に多いからです。

しかし、Cat7ケーブルの良いところは、高価なSFPモジュール(1個5万円ほど)と光ケーブル(Cat7ケーブルと同等に高価です)のセットが不要である点です。

またサーバのNIC(ネットワークインタフェースカード)にも気を配る必要があります。

「GG45コネクタが適用できるか」「ただでさえ細長い筐体に、狭苦しくてケーブルが散乱するサーバラックの中へ、Cat7ケーブルが収容できるか」については、綿密な検討が必要です。

 

配管の空洞に余裕があるか

Cat7ケーブルは「STPケーブルである」という性質上、Cat5eケーブルなどと比べると、少々太めの形状をしています。

Cat5eケーブルが3-4本のケーブルを空配管へ収容できるのに対して、Cat7ケーブルはせいぜい2本までしか収容できないものだと思っていただいたほうがよいかもしれません。

 

予算を通常より多めに見積もっておく

導入コストがCat5eケーブルの約15倍であるというCat7ケーブルは、主に帯域が制限されないサーバ周辺などのDMZ、コアネットワーク機器などの周辺で使用されます。

もちろん、サーバ機器やそれを介するネットワーク機器が多ければ多いほど、たくさんのCat7ケーブルが必要となります。

厳密に、どこからどこまで、どうったルートで何本必要なのかを調整する必要があり、ボトルネックを生み出さないための詳細な物理設計をしたほうが良いでしょう。

その上でもやはりコストは高額であり、場合によっては妥協をする構成も必要となってきます。

 

LANケーブルは用途に合った規格を選ぼう!

ある程度規模の大きくなったネットワークは、ネットワーク機器と全体的なトラフィックが集中するコア層、サーバ周辺や主要機器が集中するディストリビューション層、オフィスネットワークや電話機器/プリンタなどが介在するアクセス層に分かれます。

コア層の全般的な部分やディストリビューション層の一部にCat7ケーブルを、そのほかのディストリビューション層やアクセス層に向けては、Cat5eを選択するのが望ましいでしょう。

 

 

 

家庭内で使用する場合

家庭向けにCat7を使用するのはもはや趣味の世界であり、Cat7ケーブルが確保できる10Gbpsの伝送速度に、一般的な家庭向けサーバやクライアントPCは殆どが対応していません。

単発的なSOHOなどの小規模オフィスや家庭内のトラフィックにおいて、ボトルネックとなってしまうのは、その殆どがサーバやクライアントのHDD/SSDの処理速度です。

その関係で、Cat5eが擁する1Gbpsの伝送速度に達することも有り得ません。

何より、帯域保障型でもないWANやインターネット回線が「数Gbps」と謳っておきながら、1Gbpsを超えることは殆どなく、必然的にその部分でボトルネックとなってしまいます。

家庭向けや小規模な回線に、過剰なネットワーク設備を用意することもないでしょう。

 

オフィスで使用する場合

サーバラック数台分が立つようなサーバルームや、DMZスペース等においては、Cat7ケーブルをふんだんに使ったネットワーク環境が活躍します。

ただ10GBASE-Tに対応するようなネットワーク機器やサーバ機器が登場するのはまだまだこれからであり、当面は10Gbps対応の帯域の太いケーブルに、1Gbpsのトラフィックを流すような運用となります。

Cat5eによって、ようやく伝送速度が1Gbpsに達した時代、Cat5eケーブルは現在に至るまで大いに活躍し、場所によっては10年以上前に配線しものが、まだ現役のLANケーブルとして使われています。ネットワーク機器やサーバ機器がまだ10GBASE-Tに対応していない状況とはいえ、先行投資としてCat7ケーブルを選択することは賢い判断です。

 

スマートフォンやタブレットを使用する場合

最近のスマートフォンやタブレットには、そもそも、LANコネクタが接続出来るNIC(ネットワークインタフェースカード)がありません。

モバイルノートなどになると、LAN用のNICが存在することもありますが、有線LAN環境はとり回しが邪魔な上、「いつでも、どこでも」利用できるというモバイルに対するコンセプトとは正反対です。

回線の速度こそ有線LANには敵いませんが、有線LANが1Gbpsなのに対して、Wi-Fiは600Mbps~16Mbps程度であり、通常用途の伝送速度としては十分です。

 

まとめ

一般利用として適しているLANケーブルは、世の中に多く出回っているCat5eケーブルであり、このケーブルが確保できる1Gbpsという伝送速度は、殆どのネットワーク機器やサーバ機器、クライアントにとっては、デフォルト値としての最大速度です。

もちろん、ネットワークの中間地点では、1Gbpsどころではなく、より多くのパケットが通過しますが、Cat7やCat6AのLANケーブルは、ここで初めて本領を発揮するものです。

より賢く、十数年後も第一線として活躍できるLAN配線工事をするためにも、各種LANケーブルのそれぞれの役割とパフォーマンス値は、しっかりと抑えておきたいものです。