LANケーブルがCat5eってどうなの?速度1Gbpsの実力とは

まだまだ現役、Cat5eの実力とはカテゴリー6/7/8が続々とリリースされている中で、LANケーブルの代表格はいまだにカテゴリー5eだと言われています。

カテゴリー5eの仕様は、カテゴリー6/7/8と比べて10分の一程度と、決して高いスペックを持っておりませんが、オフィスやサーバ周辺においても、コストパフォーマンスを鑑みても「まだ5年ほどは戦えるだろう」という理由から、ごく普通に導入されています。

カテゴリー5eの底力とは、いったい何なのでしょうか?知られざるその適性と能力を解説いたします。

 

情報整理!そもそもカテゴリー5eって何だろう?

ネットワークケーブルがCat5eになるまでの遍歴そもそも、カテゴリー5eとは何なのでしょうか。

コンピュータ通信に使用されるケーブルが同軸ケーブルからLANケーブルに代わり、台頭していったのは、カテゴリー5のシリーズが出回り始めてからでした。

ケーブル名称 説明
同軸ケーブル 同軸ケーブルの転送能力は10Mbps程度とされ、今日のパソコンを含むネットワーク機器において必須とされる「双方向通信」に不向きな仕様でした。
電話線 電話線では、4芯用のRJ-11コネクターを用いて、電力線2芯、通信線2芯の4芯から成るケーブルを使用していました。
カテゴリー5 ケーブルの内訳を8芯に増やし、コネクターを8芯用のRJ-45に換装しています。

そのうち2芯を電力線、4芯を通信線(100Base-TX)として使用しています。

これにより、双方向通信にて100Mbps程度の速度が確保できるようになりました。

 

カテゴリー5eの基礎情報

カテゴリー5eでは、カテゴリー5の時と同じくRJ-45コネクターを採用し、8芯中2芯を電力用、6芯を通信用(1000Base-T)として起用しています。

これにより、1Gbpsという、当時においては、高速通信を実現させたのです。

HUBやスイッチも、カテゴリー5が主流であった100Mbps対応から、カテゴリー5e対応の1Gbps対応まで引き上げられ、GigaHUBもしくはGigaSwitchと呼ばれる製品が登場しました。

現在でも、ネットワーク機器においてはGigaシリーズが主に使用され、事業から公共、家庭内にいたるまで、様々な場所での通信を伝達しています。

カテゴリー5eとカテゴリー6の違い

カテゴリー6は無印の6、メーカーの独自規格である6e、正規の規格である6Aというカテゴリーが存在しています。

ケーブル名称 通信速度 伝送帯域 説明
カテゴリー5e 1Gbps 100MHz
カテゴリー6 1Gbps 250MHz 通信速度はカテゴリー5e と同じく、1Gbpsです。

しかし、銅線の配置を最適化する事で、カテゴリー5eにおいて周波数が100MHzだったものを250MHz程度にまで引き上げました。

これにより、双方向通信がスムーズになり、TV会議システムなどの「互いに送受信し合う」ストリーミング通信に強い仕様に進化しています。

カテゴリー6e 10Gbps 500MHz ケーブルメーカーがカテゴリー6の通信速度を10倍化させようと、先だって開発した独自規格です。

通信速度は10Gpbsにまで引き上げられましたが、後述の6Aが発売されると、衰退の一途を辿っています。

これは無視しても問題のない規格でしょう。

カテゴリー6A 10Gbps 500MHz TIAとEIAが策定し、ANSIが承認した規格です。

仕様はカテゴリー6eとほぼ同様ですが、正規規格である事から、今はこちらが主流になりつつあります。

 

スイッチ、HUB、NICとの相性や互換性について

ケーブルと各種ネットワーク機器の相性今日のGigaHUBやGigaSwitchの殆どは、1ポートあたりの伝送速度は、1Gbps程度しか入出力が出来ません。

これは、カテゴリー6Aの導入をご検討されている方に有りがちな落とし穴です。

また、サーバーやクライアントのほとんどのNIC(Network Interface Card)は1Gbpsが主流であり、10Gbps対応のNICが市場で積極的に購入されていることは殆どありません

以上の状況が「カテゴリー5eがいまだに主流」と目されている一因となっています。

 

カテゴリー5eは、とにかくスイッチやHUBとマブダチ!

カテゴリー5eの規格は、出回り始めてから十数年経つ規格であり、安定した伝送速度を長い間維持し続けている規格です。

中には、導入後15年題なく継続利用中であるLANケーブルも存在するほどです。

HUBやSwitchも、当初は100Mbpsが主流でしたが、カテゴリー5e(1Gbps)はカテゴリー5(100Mbps)と下位互換性があったため、HUBやSwitchの使用耐年数5~10年を超過すると同時に、1Gbps対応の機種へとしぜんと交換されていったのです。

今ではカテゴリー5eケーブルに、GigaHUBやGigaSwitchという構成が殆どであるといっても過言ではなくなっています。

 

NICも1Gbps推し。10Gbpsは必要な速度?

前述のように、サーバやクライアントPCが有線通信に使用するNIC(Network Interface Card)は1Gbps対応の規格が殆どであり、10Gbps対応のものは余り出回っていません。

10Gbpsを回線利用するということは、HDDのSATA3.0規格(最高速6Gbps)やCPUの処理速度(一般的に3.5GHz程度でしょうか)を上回ってしまうため、今度はサーバやクライアントPCの筐体にボトルネックが発生してしまうことになるからです。

ボトルネックとは、ネットワーク経路における速度制限箇所であり、ボトルネックが存在する経路は、それ以上の通信速度を出せない仕組みになっています。

今日のネットワーク通信の状況から鑑みて、まずクライアントパソコンに10Gpbsの回線速度は必要ありません(今後、必要になってくるかもしれませんが)。

サーバに関しては、30台以上を超える仮想マシン等を保有するホストサーバでは10Gpbsの用途が生まれてくるかもしれません。

ですが、1Gbpsを超える通信を要される状況であれば、銅線を使用するLANケーブルよりも、信頼性の高い光ケーブルが使用されているようです。

ふつうは、光ケーブルは、光メディアコンバーターを介してしか、光ケーブル間通信ができません。

これを仲介してくれるSFPモジュールという規格は、光ケーブルからの通信を直接サーバーへ転送し、10Gbpsさながら、信頼性の高い経路を確保しているのです。

 

カテゴリー5eが1→8Gbpsになれる?論理回線の冗長化技術

サーバやネットワークが拡大していくと同時に、冗長性と呼ばれる「ネットワークが途切れない事、また、滞りなく継続通信が出来ること」が重要になってきました。

当然、ネットワークが拡大するということは、サーバやネットワーク機器の配下にいるクライアントが増えるということです。

これら多くのクライアントに通信障害の影響を与えることは、致命的ともいえるようになってきました。

これを補うために、冗長化構成の技術の一つである、LinkAggrigation(リンクアグリゲーション)技術が主に使用されるようになってきました。

NICポートやネットワーク機器のポート宛のLANケーブルを増やして、1+1+1+…と繋ぎ、それらを論理的に束ねる事で、2Gbps以上の通信速度を確保できるようになっています。

これはネットワーク機器やサーバの性能にもよりますが、最大で8Gbpsから12Gbps程度の速度を確保できるとされています。

さらに、この構成は、例えば障害やメンテナンスによって1ポート分が切断されたとしても、通信断が発生することなく、残りのポートで通信を継続することが可能です。

カテゴリー5eの1Gbpsという規格制限は、こうやって、技術面で上手くフォローされ、今日のネットワークの現場で求められている、冗長化構成という用途を満たしているのです。

 

まだまだ現役?カテゴリー5eの市場評価!

各種LANケーブルの市場評価今日のIT環境が、例えビッグデータ時代だと目されていたとしても、ネットワークキャリアやデータセンター以外(一般的な企業や家庭利用など)での、殆どのネットワークやサーバの通信は、10Gbps前後のバックボーンをを持つには至りません。

サーバやクライアントのスペックもそうですし、ネットワーク機器やインターネット/WAN通信にしても「実測値として、常に維持しなくてはならない回線速度」については、10Gbpsもの用途が無いところが殆どです。

また、大規模企業や公共機関内部のサーバやネットワークは、10Gpbs以上という要件に際して、光ケーブルを使用することを好み、それをLinkAggrigationによって冗長化する、という構成を採択しています。

  • クライアントや、通信要件が常時1Gbpsを下回る箇所は、カテゴリー5e。
  • サーバや、1Gbps以上、10Gbps未満の通信要件を満たすためには、カテゴリー5e用途のLinkAggrigation技術。
  • 10Gbpsのハイエンド通信を維持するために、あえて光ケーブルとSFPモジュールを使用する。

この現状を鑑みてしまうと、まだまだ、カテゴリー5eは現役であると言わざるを得ないでしょう。

 

市場ではカテゴリー5e推し?カテゴリー6推し?

カテゴリー5eは、コストパフォーマンスに優れていることから、法人に主に使用される傾向があります。

しかし個人向け販売の市場においては、カテゴリー6Aを好んで購入するユーザーが多く、主に「なるべく通信を途切れさせたくない」と願うゲーミングユーザーや、動画コンテンツの愛好者から支持されているようです。

ちなみに、カテゴリー5eのケーブルがカテゴリー6Aに代わった処で、通信回線における信頼性が向上することはありません。(むしろボトルネックとされるのは、接続先サーバー、インターネット回線やルーター/HUB、パソコンに依存する処です)

インターネット環境やルータ/HUB等が10Gbps対応でもなく、ネット回線も実測値1Gbpsを下回るようであれば、カテゴリー5eでも十分充足すると思われますが、そこは、ユーザーが好んで使うため、「おまじない」的な需要があるのでしょう。

 

セキュリティ市場に聞く、カテゴリー5eの評価

セキュリティ市場、イコール、ITの現場になると思いますが、今でも主体的にカテゴリー5eが使用されていることが多く、コストが高く「結局は1Gbpsと何ら変わりない」回線であれば、カテゴリー6Aを使用する選択肢は殆どありませんでした。

しかし、近年においては、L2スイッチやL3スイッチ、ファイアウォールなどのセキュリティ製品に10Gbps対応のポートを使用するメーカーも徐々に増えて行っています。

通信要件によっては、1Gbps以上の通信を要する箇所にはカテゴリー6A対応のLANケーブルとスイッチを設置することも増えています。

これに合わせて「光ケーブルを使用するSFPモジュール」「そもそもLANケーブルの不要な無線LAN」など、通信方法も多様化しつつあります。

カテゴリー5eはまだまだ現役なのですが、いつかは(ずっと先)、各種製品にあとを継ぎ、その役目を終えていくのではないでしょうか。

 

結論、まだまだ現役なカテゴリー5e

カテゴリー5eは、最高で1Gbpsしか通信速度を維持できません。

後発のカテゴリー7/8に比べて、ノイズに弱いという一面もあります。

しかし、現役のLANケーブル規格としては最安価であり、今やどのサーバやネットワーク機器においても接続できるという、最高の互換性を保ち続けています。

カテゴリー5e規格を基準とした、LinkAggrigationによって、LANケーブルを論理的に束ねて回線速度を増加させる技術も備わっています。

多くのシステムベンダーがカテゴリー5eを排し、カテゴリー6Aを率先して基準化しないのは、そういった事情を鑑みた結果だといえます。

 

まとめ

まとめ結論でいえば、カテゴリー5eはまだまだ現役で使用できるLANケーブル規格です。

中には、新設のオフィスネットワークをカテゴリー6Aにしようという動きもあるようですが、時期尚早なのかもしれません。

カテゴリー5eの規格を主幹としたLinkAggrigationなどの技術応用や、付随するネットワーク構成なども、最適化されたものが現役で動作しています。

しかし、日進月歩で次々と「目新しい技術」と新製品が登場するネットワーク機器の市場においては、いつ「カテゴリー6Aが標準化されるのか?」が不明確な状況です。

次期のLANケーブルの規格はカテゴリー6Aが主流となりそうですが「ではどのタイミングで切り替わっていくのか?」は、今後も注目していきたいところです。