ISDNとINSって何か違うの?今時のビジネスホンにはどんな電話回線が良いの?

おふくろう君
おふくろう君

ISDNは、ひかり回線が出回る前に良く利用されていたインターネット回線だよ。
今回の記事では、ISDNのメリットやデメリットについて、詳しく見ていこう。

ビジネスホンを利用するために必要な回線は、いくつかの種類に分けられます。

ビジネスホン回線のひとつにデジタル信号を利用するISDN回線があります。

デジタル回線には、IP回線もあり、ビジネスホンの回線にはどの回線がよいのか迷っている事業者の方も多いでしょう。

本記事では、ISDN回線について、メリット・デメリットをご紹介していきます。

ISDNと違いがわかりにくいINSについても触れます。

ISDNってそもそも何?

ISDN

かつて主流だった電話回線-ISDN-

ISDN回線とは、どのような回線かをはじめに解説していきます。

いくつかのビジネスホン回線があるのか、ISDN回線にはどのような特徴があるのか、ISDNとINSには違いがあるのかについて見ていきましょう。

ISDNは光回線が登場前に主流だった前時代を代表する電話回線

ビジネスホンの回線は、現在ひかり回線が主流ですが、これまではISDN回線が多く使われていました。

初期のビジネスホンはアナログ回線で利用されていました。

アナログ回線は、1回線1通話であったため、従業員の多いオフィスには向かず、現在のように複数の発着信を処理することは難しく、現在は家庭用回線として利用されることが多いです。

ISDNは、アナログ回線と同じ銅線を使っていますが、1回線で複数の通話を処理できます。

オフィスで通話できるビジネスホンが増え、オフィスでの電話応対の効率を上げられます。

アナログ回線よりも音質がよいという特徴もあり、IP電話やひかり回線が登場する以前は多くのオフィスで活躍していました。

ISDN回線はインターネットへの接続も可能

ISDN回線はデジタル回線であり、インターネットへの接続も可能です。

ISDNのインターネット接続の仕組みは、ダイヤルアップによってアクセスポイントを経由し、インターネットにつなげるという流れで接続されます。

ISDN回線は、1回線で2回線利用できることから、電話とインターネットを同時に利用できます。

インターネット環境とビジネスホン環境の構築を一緒に行えます。

ISDNとINSは同じ意味

ISDNと似た用語にINSという用語があります。

ISDNとINSは内容は同じで、どちらもISDN回線のことを指します。

INSは、Information Network Systemの略称で、NTT東日本・西日本の登録商標です。

名称が違うものの、国際規格であるISDN回線を採用しています。

NTTのINSサービスには、ISDN回線を提供・活用するサービスが多くあります。

  • INSネット64:家庭向けISDN回線
  • INSネット1500:事業者向け回線
  • INSテレホーダイ:料金割引サービス
  • INSエリアプラス:料金割引サービス
  • INSタイムラプス:通話料単価引き下げサービス
  • INSボイスワープ:転送サービス
  • INSキャッチホン:着信応答サービス
  • iナンバー:複数番号利用サービス

などが主なINSサービスです。

あくまでINSはNTTでのISDNの呼び方と覚えておきましょう。

ISDNを利用する3つのメリット

メリット

ISDNがビジネスホンに向いている理由

おふくろう君
おふくろう君

ISDNでは、回線を2つ同時に利用することができるから、ビジネスシーンで便利だね。
その他、音質が良いというメリットや、盗聴されにくいというメリットもあるよ。

これまでビジネスホン回線の主流として利用されてきたISDN回線には、いくつかのメリットがあります。

IP電話やひかり電話が普及していますが、ビジネスホン導入の目的によってはISDN回線が適している場合もあります。

3つのISDN回線のメリットを解説していきます。

通話の音声品質が良い

ISDN回線は、音声をデジタル信号に変換して伝達します。

電気で伝達するアナログ回線に比べて、安定性が高いため、質の良い音声通信を実現し、音声品質の高い通話が可能になります。

伝達のブレによるノイズも少なく、通話が聞こえなくなることもほとんどありません。

ビジネスホンにおいては、家庭電話よりも音質が重要でしょう。

顧客や取引先の電話でしっかりクリアに通話できることで、大切なビジネスチャンスを逃さず、信頼できる電話応対を実現できます。

音質にこだわりたいという場合には、ISDN回線は選択肢のひとつです。

音声がデジタル化されているので盗聴がされずらい

ISDN回線はデジタル信号で通話を伝達するため、盗聴されにくいというメリットがあります。

盗聴の手法として、アナログ回線の電気信号を電線を通じて盗むことが多いようです。

ISDN回線のデジタル信号はキャッチできず、通話を盗むことができません。

一方、アナログ回線は電気信号を処理する機器であれば、どこに設置しても盗聴が可能です。

電話機本体だけでなく、モジュラージャックや保安器、端子などあらゆる場所に仕掛けられる可能性があります。

家庭電話はもちろん、ビジネスホンの盗聴は重大な情報漏洩につながります。

企業内だけで取り扱う情報や顧客の個人情報など通話にはさまざまな情報が詰まっています。

盗聴のリスクを下げるためにISDN回線の採用を検討してみましょう。

ISDNは1回線で2通話同時接続が可能

ISDN回線は、1回線で2通話同時に接続することができます。

アナログ回線は1回線1通話であるため、家庭用電話機向きでした。

ISDN回線を利用することで、複数の電話に同時に対応できるようになり、オフィスのビジネスホンとして活躍してくれます。

発着信を2通話まで同時に処理でき、電話応対がスムーズになるでしょう。

またISDN回線はインターネット接続もできることから、ビジネスホン回線とインターネット回線を同時に利用することができます

インターネットをしながら電話・FAXを利用するなど、ビジネスシーンの利便性を高めます。

それぞれの回線を設置する必要もなく、コスト面でもメリットがあります。

ISDNのデメリットとは?

デメリット

費用や回線速度にご注意を!

おふくろう君
おふくろう君

ISDN回線を入れる場合には、専用のアダプターや工事が必要になるんだ。
ひかり回線に比べて通信速度が遅いというデメリットもあるよ。
その他、2024年にサービスが終了になってしまうという点もデメリットだね。

ISDN回線には、音質のよさや1回線2通話などのメリットがありますが、一方でデメリットもいくつかあります。

音声をデジタル信号に変換するための機器が必要になるなど、費用面や手間などを考えなくてはいけません

メリットと合わせて、デメリットも把握し回線選びに役立てましょう。

電話を使うには別途でターミナルアダプタが必要

ISDN回線は、音声をデジタル信号に変換することで、良質の音声通話やインターネット接続などを可能にします。

デジタル信号のやり取りをするためにはターミナルアダプタという機器が必要です。

電話やFAX、パソコンとターミナルアダプタを接続することで、デジタル信号を伝達します。

ターミナルアダプタに内蔵されていることも多いですが、DSUという機器も必要です。

Disital Service Unitの略称でISDN回線の入り口となります。

ターミナルアダプタにDSUが内蔵されていなければ、別途そろえなくてはいけません。

ビジネスホンの購入や回線工事と合わせて、ターミナルアダプタの購入や設置・設定が必要になります。

ビジネスホン環境を整える費用がかさんだり、設置・設定に手間がかかったりします

導入費用や手間を理解して、IP電話やひかり電話といった回線と比較することが大切です。

インターネットへの接続は可能だが回線速度が遅い

ISDN回線のメリットには、インターネット接続ができるという特徴があります。

ただ、インターネット接続の回線速度は遅く、デメリットとも捉えられます。

回線速度はデータ転送の単位であるkbpsで表現されます。

kbpsの値が大きいほど、回線速度が速くなります。

ISDN回線の速度は最大64kbps、ADSLは下り12Mbps・上り1Mbps、フレッツ光は最大100Mbpsです。kbpsの目安としては、ウェブページ閲覧ではページ容量にもよりますが200kbpsほど、動画コンテンツでは1Mbpsほどが支障が少ないとされています。

ISDN回線はデジタル回線の中では回線速度が遅く、インターネット利用で不便が生じてしまいます。

ページダウンロードの速度や動画再生などがスムーズではなく、業務に支障がでるかもしれません。

2024年ごろを目処にサービスが終了してしまう…

NTT東日本・西日本は、2024年を目処にISDN回線サービスの提供を終了すると発表しました。

IP電話やひかり電話の普及やインフラの維持の難しさなどが主な理由です。2

2024年1月にISDN回線からIP電話への切り替えが開始され、2025年1月に切り替えが完了する予定となっています。

サービス終了に関わるデメリットとしては、IP電話移行にともなう通信遅延があります。

ISDN回線は、ビジネスホンだけでなくインターネット回線にも使用され、受発注システムに活用している場合も多いです。

2025年の切り替え完了に向けて2023年から通信遅延の可能性があり、企業間のやり取りや企業と銀行の振り込みなどに支障がでるかもしれません。

完全切り替えまでにまだ数年ありますが、できるだけ早めのIP電話移行が求められます。

ギリギリまでISDN回線を利用できますが、設備の入れ替え費用や手間が発生します。

将来的なIP電話移行を十分に考慮した上でISDN回線の導入を検討しましょう。

まとめ

おふくろう君
おふくろう君

ISDNは、一昔前では主流のネット回線だったけれど、今はひかり回線が主流だね。
2024年にはサービスが終了してしまうから、今後ISDNの導入を検討している企業は、よく検討する必要があるよ。

ISDN回線はデジタル回線のひとつで、IP電話やひかり電話以前の主流回線として利用されていました。

音質のよさや1回線2通話、インターネット接続ができるといったメリットがあります

デメリットとして、ターミナルアダプタが必要であることや回線速度の遅さが気になるところです。

ISDN回線の導入を検討する上で、2024年頃のISDNサービスの終了は忘れてはいけません。

IP電話への移行にともなう通信遅延や入れ替えの費用・手間がかかります。

ISDN回線の終了やメリット・デメリットを理解し、オフィスに合うのか・将来的な影響に対処できるのかなどを検討し、ISDN回線の導入を選択肢に入れましょう。