賃貸マンションに防犯カメラを設置することは可能?マンションオーナー様必見の防犯カメラ取り付けのノウハウとは?
賃貸マンションのオーナーがマンション内に防犯カメラを設置する時には、自分のマンションだからって勝手に取り付けていいわけではないんだ。
今回の記事では、賃貸マンションへスムーズに防犯カメラの設置を行うにはどうすれば良いのか?詳しく見ていこう。
防犯カメラを賃貸マンションやアパート、はたまた借家へ設置したいという要望は後を絶ちません。
その理由は、オーナーが物件を賃貸に出すときに「防犯セキュリティがある」という触れ込みをすることができることと、「住人や、悪意ある第三者に悪事を働かせないこと」が主な理由に挙げられます。
しかし、その賃貸物件を取り巻くステークホルダー達が防犯カメラに対して難色を示すこともよくある話です。
ここでは、そう言った均衡バランスのとれた防犯カメラの設置方法や、地域住人の反対に遭いにくい対処方法についてを解説致します。
パッとみでわかる目次
住民への許可なく防犯カメラを取り付けることは問題ない?
賃貸募集をかけているマンションやアパートのオーナーの立場として、既に入居中の住人に対して、プライバシーや心身を害さない防犯カメラの設置範囲は一体どの位のものでしょうか。
その答えを導き出すには、相手の立場に立って物事を考えることが重要なことですが、一般論として、どの範囲まで許容されるのかを考えてみましょう。
防犯カメラを勝手に設置しても、法的に違反ではないけれど、住人や自治体へ周知することが大切だよ!
基本的には許可は必要ない
賃貸住居に関する防犯カメラの設置は、その目的が法外なものでない限り、自由に設置することができます。
法外な目的とは、例えばプライバシーの侵害であったり、肖像権の侵害であったり、普段から常識の範囲内で聞き慣れた範囲の事を指します。
本来の防犯という目的がまさか肖像権の侵害に当たることは少ないでしょう(防犯映像をメディアに明け渡す事は論外ですが)。
プライバシーという観点においては、屋外を監視する分には、防犯カメラとしてある一定の理解が得られるのが、ごく一般的な見解です。
防犯の目的でカメラを設置するという掲示は忘れずに
いざ防犯カメラを設置すると言う段階になって「自分は聞いていないよ!」と反発を受けることもよくある話です。
賃貸マンションやアパートなどもそうですが、協同組合や管理組合が存在する分譲マンションにおいても「防犯カメラを設置します」という広報は絶対に必要です。
その方法は、共同住宅の掲示板へ、施工前の数ヶ月の間、掲示告知するのが最も一般的な手段です。
また、各戸毎に案内状を配布し、2~3度に渡って告知するというやり方も、親切でトラブルの少ない方法の一つです。
自治会がある場合は自治会への周知を徹底する
自治会は、その地域のイニシアチブを持つ、唯一の団体です。
自治会がその地域に大してどれくらいの影響力を持っているのかは計り知れませんが、マンションやアパートの建設中や売買契約時などでも、業者から「地域の自治体の実情について」を噂で聞くことがあります。
彼らは「ごみの分別」や「地域防犯」について、かなりの関心を持っていますので、一度お伺いしない手はありません。
この二つの関心事に貢献出来るという立場を表明すると、あらゆる方面で味方に立ってくれる可能性があります。
また逆に、敵に回してしまうと、マンションやアパートの運営すら危うくなる事態に陥ることもよくある話でしょう。
自治会に対してはなるべく理解を得てもらい、味方につけるのが得策です。
また、近況における自治会の欠点としては、参画する住人がその地域を網羅していない、という部分につきますが、そういった「自治会に参画していない住人」は、地域のことにあまり関心が無いか、その地域に対して反社会的な感情を秘めている可能性があるため、重視しなくても良い部分だと思われます。
防犯カメラを付けることで得られるメリットは?
防犯カメラを設置すれば、犯罪を未然に防ぐことができるし、たとえ事故や事件が起きた時にも、証拠としての映像を残すことができるね。
賃貸マンションやアパートにおいては、防犯カメラを取り付けることで良い環境が生まれます。
それは「防犯セキュリティがある」という触れ込みをすることができることと、「入居者や、悪意ある第三者に悪事を働かせないこと」と前述でも申し上げましたが、その詳細を解説いたします。
問題が起きた時に証拠映像が残せる
防犯カメラが設置されていることは、すなわち、事件や事故などが発生した際の証拠保全ができるという、大きな強みを持ちます。
それらは賃貸物件の価値を気にするのオーナー自身にもただ事ではないため、今後の裁判や事後交渉の中においても、重要な証拠として力を発揮してくれます。
それだけではありません。
これから犯罪を手を染めようとする、空き巣や泥棒などの悪意の第三者の忌避にもつながり、未然に犯罪を防止する手助けにもなります。
ゴミの分別意識が高まる
賃貸物件を持つオーナーの困りごとの一つが、ゴミ集積場の管理であり、あまりにも散漫な管理方法だと、その周辺の地価が下がったり、最悪の場合は入居者すらいなくなってしまいます。
そういった潜在的な危険を持つゴミ集積場に対し、最も効果的な管理方法は「監視すること」の一言に尽きます。
ゴミ集積場は「一人がポイ捨てすると、みんなもポイ捨てをはじめる」という、いわゆる「割れ窓理論」に陥りやすいオーラを持った空間ですので、どの現場よりも犯行に及ぶ確率が高くなるのです。
「ポイ捨て」は、優良な一般人でも犯しやすい軽犯罪です。
賃貸物件の住人でも、面倒になってそこらにゴミを捨ててしまうことはよくある話です。
それらを戒めさせようという作戦で、防犯カメラを設置するのです。
中には、ゴミ集積場にダミーカメラを設置してしまおうという考えもありますが、これは「証拠保全が出来ず」「威嚇だけに過ぎない」と思われてしまうと、余計な犯行を呼んでしまう可能性がありますので、お勧めできません。
このマンションはセキュリティがしっかりしているという印象を持ってもらえる
入居希望者が内見で案内してもらう際に、かなりの割合で目に付きやすいのは、防犯カメラの設置状況です。
今でこそ、日本では犯罪率が年々減っていますが、ニュースを騒がせるような犯罪被害が目に付くのは、今も昔も変わりません。
入居者は、そのような犯罪被害に、少なからず恐怖心と嫌悪感を持っています。
そのため、防犯セキュリティがある、という事実だけでも、入居希望者を安心させる一助となります。
だからといって、そう過剰に防犯カメラを設置するのもよくないのですが、せめて渡り廊下やエントランス周辺に設置するだけでも、入居希望者からの評価はぐんと上がるでしょう。
住民の理解を得るために気を付けることは?
住人を説得させるには、住人を守るために必要な防犯カメラだということをしっかりと説明しよう。
共有部分だけを映像として残すことができるマスキング機能が搭載されている防犯カメラもあるんだよ。
賃貸マンションやアパートにて防犯カメラを設置する際に、一番大事にしなくてはならないのは、長いこと家賃を支払って入居してくれる住人です。
「建物が古くなったから」「勤務地が遠くなったから」「新居を購入したから」と引っ越していく住人は大勢いますが、「防犯カメラが設置されたから」という理由で引っ越しを決意する住人は余り居ません。
しかし、賃貸マンションやアパートの住人にとって、それが「メリットがあり」「十分に理解が得られる」ように働きかけないと、後々問題となって、尾を引いてしまいます。
住民を守るための防犯目的であることを強調する
防犯カメラの主目的は、「事件や事故の際の証拠保全」「犯罪に対する抑止力」です。
より安定化した住居に、住人は住みたいでしょうし、特に子どもやお年寄りの居るようなファミリー層では、セキュリティについては歓迎を受けやすいでしょう。
一方、デメリットとして「常時監視されている事」「ベランダ等への監視により、プライバシーが侵害される事」を意識されると、最悪の場合、反対運動にまで発展してしまいます。
説明としましては「あなた方住人を守る為に、防犯カメラの設置を検討しているんです」という、住人に寄り添った説得が必要となります。
また「これまでこうやってきたんだから、このままでいい」など、保守的な考えを持った方々には、もう一歩踏み出した交渉が必要になるかもしれません。
例えば「工事期間はご迷惑をお掛けするので、少しだけキャッシュバックします」もしくは「商品券を進呈します」という、付加価値を取り付けることが最も先鋭的なやり方です。
しかしただでさえ高価な防犯カメラを設置しますので、これ以上のコストを引き上げたくないのも事実です。
交渉方法は無限大ですが、どんな反応や効果があるのかは一戸一戸の住人に寄りけりです。
住人の一人一人に寄り添うことを忘れず、的確な説明と会話により、交渉は成り立ちます。
面倒だからといって、端折るようなことはせず、勇気をもって踏み込んでいきましょう。
撮影する場所はプライベートな空間を侵すことなく共用部分に留める
防犯カメラのデメリットとも捉えられがちな欠点は、「プライベート空間をも監視してしまう危険性」があることです。
多いのがベランダや風呂場近くの窓などですが、住人は「監視されていることが見える」ことに不快感を覚えます。
また法的にもプライバシーの侵害に触れる可能性が高く、プライベート空間を映してしまうようなカメラの設置方法はお勧めできません。
ですが、現在は防犯カメラからの映像取り込み時に、設定した空間だけを着色して見えなくする、マスキング機能が備わっていることもあります。
住人が映像を見るわけでもないのに、何故こんなことをするのかというと、裁判沙汰や証拠提出の際に「余計な映像」を提出しないためのフィルターだからです。
「余計な映像」には、防犯カメラが公になることでの意図しないプライバシーの侵害や、肖像権を守るための二次加工等の手間、というリスクが偏在しています。
このように、防犯カメラを共用部分に留めるべきなのは、「余計な部分を撮影するリスクを減らす」という、明確な理由があるからなのです。
まとめ
防犯カメラを設置することで、セキュリティ対策を強化することができるけれど、監視されていると捉えてしまう住人も少なくないんだ。
どうやって反対している住人を説得するかは、オーナーの手腕にかかってくるね。
何も考えずに防犯カメラを設置するのは、コスト面を除けば簡単なことなのですが「防犯カメラを設置する」という行動の周りには、いくつもの「隠された」環境や心情、ハードルが連なっています。
賃貸マンションやアパートの住人はおろか、自治会や地域社会に対してもその影響はプライバシーや防犯という形になって現れ、防犯カメラを中心に日々、関与されてしまいます。
公での防犯カメラという性質上、大半のステークホルダー達には迎合されやすい傾向がありますが、人の心情としては「一歩間違うと、怒りを買われやすい」ツールであることは覚えておかなくてはなりません。
その怒りを買うか、信任を得られるかどうかは、オーナー自身の交渉手腕にかかっています。