小型の防犯カメラを隠して取り付けると違法になる?防犯カメラを設置する前に知っておきたい法律とは?
オフィスに防犯カメラを設置しても違法になることはないよ。
だけど、プライバシーの観点から、問題視されてしまったり、トラブルに発展してしまう事があるんだ。
今回の記事では、トラブルなく防犯カメラを設置する方法について、チェックしていこう。
防犯カメラは常に性能が更新され続けており、小型化や多機能化、またそれに伴う随伴機能の連携など、日々躍進を続けています。
しかし機能が多彩になると、それに応じて発生しうる問題も多くなり、場合によっては法律に接触する可能性を秘めています。
そこで今回は、防犯カメラ設置に伴う法的なルールについてを解説していきます。
防犯カメラの設置は違法になる?
防犯カメラの設置が違法に成りうるのは、防犯カメラが「著しく損害を与える、またはその可能性」がある場合に限ります。
これまでの生活や業務の中で、防犯カメラが登場した際に、問題になったことはほぼ無いに等しい方が多数だとは思いますが、その状況やご経験が違法性の有無に近しい判断だと言えます。
防犯カメラを設置する目的・理由が正当なものであるかが重要
防犯カメラが設置される目的は
- 「監視したい」
- 「法的根拠を保存しておきたい」
- 「不法者を威嚇したい」
この3点が大枠です。
しかし、その目的が他人の身体や権利を毀損しないのか、と言う点も、最も重要なファクターの一つであり、要は、自分たちとステークホルダーたちの利害の兼ね合いが必要となります。
オフィスに防犯カメラを設置することは基本的に問題ない!
オフィスやエントランスなどは公共施設もしくは、自社、自分たちの所有物件の中であるため、殆どの場合は防犯カメラの設置が許される上に、ステークホルダーとの間に問題は発生しづらい環境です。
中には「仕事中に防犯カメラで監視されるのは嫌だ」と露骨に嫌う方もいらっしゃいますが、公共の場所であるという建前、問題視されることは殆どありません。
ただし、オフィスやエントランス、自宅などにおいても「プライベートエリア」というものは存在しますので「公共の施設、自分たちの施設」だからといって、いつでもどこでも防犯カメラを設置してもよいと言うわけにはいきません。
「ステークホルダーとの兼ね合い」が必要である境界線は、まさにプライベートエリアとの境界です。
防犯カメラをオフィスなどに設置する場合、その点を気をつける必要が出てくるでしょう。
あくまで設置する目的は「監視」ではなく「防犯」だということを忘れずに
防犯カメラは、防犯対策に利用するべきものであって、従業員を情報を知るための物ではないという事を理解しておこう。
監視カメラの目的は「防犯」「防災」「計測・記録」の用途ですが、オフィスには「防犯カメラ」を設置するわけですから「計測・記録」が目的ではありません。
オフィスにおいて防犯カメラの目的が「計測・記録」に偏ってしまうと、それは「従業員の作業内容の確認」であったり「会話や行動内容の記録」であったり、ステークホルダのプライバシーそのものに大きく踏み込む形をとってしまいます。
この「防犯カメラ」「計測・記録カメラ」の意味の履き違いは良くありがちな話ですが、違法性に問われてしまうか否かは、ステークホルダーの許容が比較的簡単に実現できる「防犯目的」と、プライベートを問われてしまうため容認されにくい「計測・記録が目的」とでは、ステークホルダーからの受け入れられ方がまるで違います。
では改めて「防犯カメラの真の目的」は何でしょうか。
復唱になってしまいますが
- 「監視したい」
- 「法的根拠を保存しておきたい」
- 「不法者を威嚇したい」
この3点セットの意味を理解し、ステークホルダーに対して「大きく踏み込むようなことをしない」のが、違法性を問われるか否かの判断基準となります。
録画したデータは個人情報の対象になる
防犯カメラは、適切な場所に設置しないと、罰せられてしまう事もあるんだよ。
録画した内容は、誰でも閲覧できるようにするのではなく、管理者を置いて閲覧に制限をかけるようにしよう。
十数年前から「個人情報保護法」が制定され、個人情報の取扱には厳重な法的措置が課せられるようになってきました。
そして、防犯カメラが録画した映像は、人相や容姿を記録することから「個人が特定できる」個人情報となってしまいます。
また、以前からある「プライバシー保護法」は、個人の権利や利益を保護するための法律となります。
端的なことを言ってしまうと、防犯カメラが「特定個人の興味」や「防犯目的以外の利益」に使用されてはいけませんし、この法を犯すと、当然罰せられます。
プライバシー保護のため適切な場所に設置する
公共の施設や私的な施設とは言えど、ステークホルダーたちの有する個人のプライバシーは優先して守られるべきですし、防犯カメラを設置する側も、これを気にしなくてはいけません。
具体的に言うと、更衣室やトイレ、場合によっては食堂などもその範囲に含まれます。
プライバシーは主観的になると忘れられがちですが、客観的に「自分がステークホルダーの立場に立つと、個人的に嫌だし恥ずかしいな」と考える範囲が、プライバシーの概ねの範囲であると言えます。
しかしそれでも「何でこの位置に防犯カメラを設置してはいけないの?自分は別に撮られても問題ないし・・・」と考えてしまうような設置ポジション等はあるかと思います。
この場合「どうしても主観要素が抜け切れていない」危険がありますので、他人にヒアリングしてみる等の対策が必要です。
録画データは誰でも見れるものではなく制限をかける
個人情報は徹底して守られるべきであり、それを漏らしてしまった企業は大々的にリークされ、完膚なきまでに叩かれ、罰せられます。
そういった事情から、現在の企業は大中小問わず、個人情報の保護にかなり目くじらを立てるようになりました。
防犯カメラは「録画データをHDDへ蓄積する」という観点から、HDD暗号化やレコーダー施錠などの制限を設け、権限によりログインしてモニターできる環境を整えなくてはなりません。
とはいえ、防犯カメラメーカーはそれを考慮して、レコーダーの構造やソフトウェアに対策を施していることが殆どです。
ユーザーがやるべきことは、それらを活用し、運用管理ルールを取り決め、運用していくことです。
従業員から異議申し立てがあった場合は慎重に対応する
ステークホルダーからの指摘や異議申し立ては「大変厄介なもの」と捉え「防犯カメラについては秘密裏に設置を検討する」という企業はかなりの割合でいますが、かえってその施策が逆効果になることもあります。
防犯カメラが設置されるという前提上、どうしても常にそこに居る従業員にはバレますし、従業員にとって問題のある設置場所に防犯カメラが置かれたとすると「プライバシーの侵害」のほか「なんの断りも無く」設置してしまったことについて、余計な反感を生んでしまいます。
防犯カメラの設置前から従業員等には綿密な打ち合わせとヒアリングを行い、導入後に容認してくれ、運用に協力してくれるように促すのが、最も効率的なやり方です。
防犯カメラ設置によるトラブルを回避するための3つの秘策
防犯カメラを設置する時には、事前に従業員に伝えておく事、ルールを制定する事、管理者を決めておく事などが大切だよ。
防犯カメラの設置は
- 「個人情報を保護する」
- 「プライバシーを保護する」
という二つの法的かつ重大な観点から、気にしなくてはならないハードルです。
それもこの二つの観点は、守るべきルールがあると言うより、個人的な感情の問題であるという側面も大きいため、よりデリケートな対応が求められます。
ステークホルダーが目くじらを立てるような状況であると、どんな軽微な状況であれ、感情的な指摘を受けることもよくある話ですし、逆に、ステークホルダーの興味がなければ、重要だと思われる問題であれ、スルーされてしまうことが殆どです。
設置者の立場としては、この前者を気にするべきであり、それ故に、デリケートな対応が求められるのです。
防犯カメラを設置することを従業員に説明しておく
その施設に従事する従業員にとって、防犯カメラを設置するのは大変な関心ごとの一つです。
防犯カメラの設置については、少なくとも従業員には周知する必要がありますし、その際に「何の目的で」「どうやって」設置するのかを具体的に説明する必要があります。
それが「従業員を監視するため」であると説明するとなると、前段において、余程の事件が無い限り、導入には困難を極めることでしょう。
問題を問われるようであれば、徹底したヒアリングと調整が必要となります。
設置前に必ずガイドラインを定めておく
運用管理の側面で、ガイドラインやルールを制定することは、導入前の一番初めにやっておかなくてはならないことです。
ガイドラインを取り決めておくことで、運用管理する人員が、本来の目的とは逸脱した運用管理をしてしまうことを防止することが出来ますし、導入によって、現場を混乱させる必要もなくなります。
また、下手をすると、設置した主担当者はそれだけに満足し、設置をされた他従業員は「なんだこれ?まあいいや」で放置され、現場の興味が収束し、防犯カメラそのものの価値や存在が無視されてしまう結果にもなりかねません。
従業員に運用管理を任せるにしても、運用管理が必要とならないレコーダーを導入したとしても、ガイドラインやルールの制定は必ずしも必要となります。
録画データを取り扱う管理者を決める
録画データの取扱には、個人情報やプライバシーを侵害しかねない情報が含まれているため「信用ある部門長」へと、取扱者を限定する必要があります。
またそのような情報の取扱いに長ける技術者「安全情報確保支援士」などを、管理者へ据え置くのも、良い判断でしょう。
パソコンやサーバにおいて、管理者権限が存在するのと同じく、レコーダーの録画データを保存し、確認することができる管理者は
- 「限られた」
- 「信用の置ける」
- 「一部の人間」
に絞り込むべきです。
この調整により、個人情報保護やプライバシー保護の観点においても、より強力な管理ができます。
万が一、それらが漏れてしまったとしても、流出元が限定されているため、追跡が容易になる可能性もあります。
まとめ
防犯カメラをトラブルなく設置するためには、設置場所に気を付ける事、ルールや管理者を決める事を徹底しよう。
防犯のためのカメラであって、従業員の監視のためのカメラではないという事をしっかり説明することが大切だよ。
防犯カメラの設置おいて、問題となる可能性のある法律は「個人情報保護法及び、プライバシー保護法」です。
この二つの法律は、ステークホルダーの心情的に関わる部分が多く、業務上ではデリケートに取り扱うべき問題です。
そのためには、ステークホルダーの一員である従業員たちに「防犯カメラを、どういう目的で設置するか」という事前説明が必要ですし、そのための管理者の取り決めや、ガイドラインとルールを制定しなくてはなりません。
防犯カメラを含め、システムというのは、何でも「設置すればよいだけ」という簡単なものではありません。
人間の生活や業務をサポートするというのが目的であり、それには、人が「何故そこに、防犯カメラがあるのか」を理解する必要があり、それに伴って、活用してもらう必要もあります。
特に防犯カメラは、人間の生活や業務へダイレクトに関わってしまうシステムであるため、理解や活用を促していくべきシステムの一つなのです。