LANケーブルは屋外でも配線可能?1階から2階への配線など環境に応じたLAN工事の施工方法とは?
LANケーブルの屋外配線を行う時には、LANケーブルを雨や風、動物などから守る必要があるよ。
今回の記事では、屋外配線の方法について、詳しく見ていこう。
屋外へのLANケーブル配線を検討した際に、最も感じてしまうのが「屋内用のLANケーブルは知っているけど、屋外へのLANケーブル配線はどのように進めるべきだろうか?」という疑問です。
通常であれば、空配管の中に光ケーブルを通し、両端に光成端箱を設置するものであり、その両端の光成端箱にはメディアコンバータを設置しますが、光ケーブルもメディアコンバータもかなりのコストを要します。
そういったハイコストな配線をするよりも、条件が揃った場合は、空配管の中にLANケーブルを配線したり、屋外用LANケーブルを使用するという手もあります。
パッとみでわかる目次
屋外にLAN配線をする場合ってどうするの?
屋外にLAN配線を設置する場合には、空配管にLANケーブルを同居させる方法が一番お勧めだよ。
屋外にLAN配線を検討する場合、いかにして「屋外へむき出しになったケーブルを保護するか?」が大事なポイントとなります。
どんな場合に屋外配線が必要になるか
屋外にある物品はどんな状況であろうと、その環境は過酷を極め、風雨や直射日光、動物あるいは人などから物理的なダメージを負います。
自動車のタイヤですら、自動車を動かさないという条件下で2年と耐用しないのが、日本の気候です。
精密な結線を要するLANケーブルなどひとたまりもなく、経年劣化による断線というシナリオが目に見えて明らかです。
要はそれに耐えうるLAN配線をすることが肝要なのですが、屋内用LANケーブルをいかに保護するか、が重要なポイントとなってきます。
屋外にLAN配線をする方法
屋外でLANケーブルを使用するにあたって、建屋の壁はどうしても越えなくてはならない障害なのですが、一つの方法として、通気口やエアコンダクト、既成の電気配線などに使用される空配管に同居させるという手があります。
しかしこれが無いとなると、壁に穴を開け、配管後にモルタルでなどで出入口を保護します。
この施工には、建屋の支柱を傷つけないよう配慮する必要があり、綿密な検討と手間隙が必要となってきます。
もう一つの方法として、出入口のドアや窓などにフラットケーブルを敷設するという手があります。
これもLANケーブルが断線しないように、人や物が通過するポイントや、ドアとサッシによって圧迫される部分へ接触しないように、ちょっとした配慮が必要です。
晴れて屋外にLANケーブルが開通したとしても、まだ環境との戦いは幕を閉じません。
前述のように、屋外に露呈したLANケーブルを、空配管や屋外用LANケーブルを使用して「いかに保護するか」が、これから複数年ネットワークを維持するための重要なポイントとなります。
空配管があれば、コンクリートや地中に埋めてしまっても、絶大な効果を発揮するでしょう。
しかし、屋外用LANケーブルをそのまま使用するには気候以外にも難敵が居ます。
人や動物などの接触を避けるために、電柱の間を這わせたり、壁と床のきわへ固定して通過させたりと、一工夫が必要です。
また他にも、ここは思い切って無線LANを使用してしまうなどの措置が検討できます。
屋外を配線するときに絶対にやってはいけないこと
屋外配線を行う時には、雨風、動物からLANケーブルを守ること、LANケーブルの長さが100m以上にならないように注意しよう。
LANケーブルの気難しいところは、LANケーブルの中にある8本の銅線が一つでも欠けてしまうと、著しく速度低下や瞬断が発生したり、最悪の場合、通信ができなくなってしまうことです。
また、PoE型のスイッチ機器やPoE給電を必須とする無線アクセスポイントの用途で、LANケーブルに電気を通していることもあります。
屋外の水に晒され、破断した部分からショートし、人に怪我を負わせたり、機器を破損させてしまう可能性があります。
なお、外気に晒されるという事は、鳥獣の排泄物や、どこからか流れ出た化学薬品と触れて劣化の進行が早くなることも十分にあり得ることです。
経年劣化は恐ろしいもので、固定したはずのLANケーブルがいつの間にか緩んだり、固定具が外れてしまったりして、人に引っかかって転倒させてしまうような危険を伴います。
このような要因に対して、屋内用のLANケーブルはとてもじゃないですが、耐えられません。
またLANケーブルがHUBやルータ間を通信できるのは、100mまでという制約があり、これを超えると通信速度や安定性に支障が出始めますので、注意が必要です。
屋外用LANケーブルを使った配線
屋外配線に使われるLANケーブルは、被覆カバーで覆われており、壁などに固定されながら配線を行う事になるよ。
屋外用LANケーブルは、屋内用LANケーブルを更に黒い被覆カバーで覆うような形状をしています。
通常の屋内用LANケーブルはPVC素材(ポリ塩化ビニール)であり、耐熱や絶候性に優れたものを使用していますが、屋外用LANケーブルの被覆カバーも同じく厚手のPVC素材で出来ており、LANケーブルを二重でガードします。
また、張力(引っ張る力)による破断を防ぐために、LANケーブルの端に支線ワイヤーを添付するタイプもあります。
屋外用LANケーブルを使った配線方法
屋外用のLANケーブルは、建屋を出る間際にスイッチやHub、「LANケーブル中継コネクタ」などを用いて、屋内用LANケーブルから屋外用LANケーブルへとスイッチされます。
「LANケーブル中継コネクタ」を使用する際は、LANコネクタのピンが露出に適さない環境へ露呈するため、防水テープなどでグルグル巻きにして保護されます。
屋外へ出た後は、壁別棟などの目的地まで、壁際や床上などに固定されながら配線されます。
屋外用LANケーブルのために、ちょっとした電柱を設けることもあります。
電柱まで設置するようであれば、安価には済まなくなりますが、そういった配線方法も存在します。
屋外用LANケーブルを使うメリット
屋外配線に利用するLANケーブルは、耐久性に優れているよ。
デメリットとしては、狭い場所やカーブするような場所で配線しにくいという点だね。
屋外用LANケーブルは、屋内用の通常用途のLANケーブルとは違い、二重に被覆しているため、耐久力が格段にアップしています。
PVC素材であることは内外の被覆シールドともに同様ですが、PVC素材は屋外用途での耐候性(雨風や日差し、寒暖の激しい場所での耐久性)に優れています。
屋外用のバリエーションが存在するのは光ケーブルも同様ですが、光ケーブルと比べてみても安価であり、コスト面では5倍以上の開きがあります。
屋外用LANケーブルを使うデメリット
屋外用に設計されたLANケーブルは被覆が厚くなっているためか、若干取り回しづらい構造になってしまっています。
例えば、壁や空配管などの狭い空間を通過する際は、通常のLANケーブルよりも場所を圧迫したり、急なカーブを描くような配線に応じにくかったりします。
また、屋外用途であるため、ピンやコネクタが露出するようなポイントとなると、防水テープで保護するなどの、徹底した防水処理が必要です。
LANケーブルの伝導性能は100mで低下しますので、100mを超えるような配線となると中継の「屋外用HUBボックス」を配置する必要が出てきます。
この「屋外用HUBボックス」は、空配管をカバーするように出入口が若干大きめな構造をしていることが多く、屋外用LANケーブルでは、少し細すぎる形状をしています。
配管を敷設しLANケーブルを配線
配管を敷設する事で、LANケーブルを安全に守ることができるね。
だけど状況によっては、速度が低下してしまう事もあるから注意しよう。
屋外用LANケーブルが一般的になる前は、空配管の中へ屋内用LANケーブルを通過させることがほとんどでした。
空配管は、例えばエアコン室外機の電気配線に使用されたり、建屋の中のフロア間配線に使用されるなど、現在でも屋内外問わず、顕著に活用されています。
空配管には大きく分けて二つのバリエーションが存在します。
CD管と呼ばれる空配管は、メーカー共通でオレンジ色をしており、後述のPF管と比べて耐熱性に特化していないため、これは主に屋内用の配線に使用されます。
一方、PF管と呼ばれる空配管は主に屋外用として使われ、白色かグレー色です。
また基準値を満たすために耐熱性を持たせています。
通常の単一被覆として合成樹脂を使用したものと、更にその上に特殊な被覆を施した、耐候性に優れたものがあります。
いずれの空配管も、屋内用のLANケーブルや電気配線をするのに必要であり、様々な用途で使用されています。
配管を敷設しLANケーブルを配線する方法
建屋から屋外への空配管の敷設にあたり、空配管は屋外用LANケーブルと同じく、エアコンダクトや通気口などを利用し、そこを通過します。
モルタルなどで防水処理をする必要が出てきますが、やはり屋外用LANケーブルと比べると通過するために必要となるケーブル径は太く、それによってメリットとデメリットが出てきます。
配管を敷設しLANケーブルを配線するメリット
空配管を使用した屋外配線では、LANケーブルの事後メンテナンスのしやすさと、屋外用LANケーブルと比べても耐久性や耐候性の面で優位性があるというメリットがあります。
例えば、空配管内部へ配線したLANケーブルに不具合が見つかった際、そのLANケーブルは丸ごと交換しなくてはならなくなりますが、空配管をあまりいじることなく、LANケーブルを交換するだけで済みます。
また空配管内のLANケーブルは、二重に被覆した状態になるため、屋外用LANケーブルよりも手厚く保護され、断線やシールド劣化などのリスクを大幅に減らすことが出来ます。
配管を敷設しLANケーブルを配線するデメリット
空配管は、ケーブル径の太さそのものがデメリットとなります。
空配管の収容できるLANケーブルは3~4本までですが、その分のスペースと、外形がカーブに適するために設けられたジャバラ上の被覆シールドは、ただでさえ狭いスペースをより圧迫することがあります。
空配管が設けられた際は、ドリルなどによる壁への穴あけと、空配管の後に、モルタルやコンクリートなどによる穴埋めが大前提となっていることが多く、仮設などでLANケーブルを配線するのにはまるで向いていません。
また、フラットケーブルとの相性もいまひとつであり、フラットケーブル同士が干渉しすぎるための速度低下や、ドアや窓を抜ける際の取り回しの不便さが目立ちます。
まとめ
LANケーブルの屋外配線の方法について詳しく説明してきたよ。
屋外配線を行う時には、LANケーブルの耐久性を高めることができるよう、しっかりと保護する事が大切だよ。
空配管を利用した配線がお勧めだね。
屋外でのLANケーブル配線する上で最も重要な要素は耐候性であり、前述の特殊加工や被覆シールドなどで保護しなくてはなりません。
空配管は屋外配線において、ベースとなる配線であり、屋外用LANケーブルはそれを補助する役割を担う程度が一番無駄の無い配線ができます。
屋外用LANケーブルと空配管をバランスよく敷設していくことが、過酷な環境での屋外配線のコツとなります。